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偽装請負

退職の時代背景

偽装請負とは、メーカーや企業が人材会社より事実上派遣を受けているにもかかわらず、形式的に「請負」と偽り労働者使用に伴う多くの責任を免れようとする行為だ。直接雇用することになれば、福利厚生・社会保険・雇用保険などの負担がかかるが、人材会社を通して間接的に雇用すればそれらの負担はゼロ(人材会社側の負担)となる。強いといわれている日本の製造業の多くで低コスト目的の偽装請負が行われているという。

本来「請負」とは、請負会社自体が仕事を受注して製品を納めるものだ。ここで問題となっている「偽装請負」とは請負会社はメーカー等に社員を送り込むだけで、社員はメーカーの工場でメーカーの社員により指示・管理され仕事をしている(実質は派遣)ことを指す。担い手の中心は20代〜30代半ばで、ボーナス・昇給はほとんどなく(賃金は正社員の半分以下)都合が悪くなれば(需要が減り暇になったり、条件にうるさいめんどうな社員)簡単に解雇通告される。

請負労働者は最新鋭ハイテク工場で働いていることが多い。求人誌でも「最先端の仕事」「有名メーカー」を売り文句に募集されていないだろうか?通常のアルバイトよりも時給が高く魅力的に思えるかもしれないが、常に募集があるのは「早朝・夜勤・残業」など過酷な業務のため次々と人がやめていくからだ。単純な過重労働ではスキルも身につかずステップアップも望めない。求められているのは「低コスト」であることだけ(+高品質を求めるからメーカー社員が直接指示をする「偽装請負」が発生する)。努力しても報われないのだから、これはすぐにでも辞めるのが正解だろう。

(参考・出典:朝日新聞 2006・07・31)

偽装請負・追記

厚生労働省が労働者派遣法に違反する「偽装請負」について監督指導強化を指示する通知を各都道府県労働局長に出した、とのこと。偽装請負は安全管理の責任の所在があいまいになるのが特に問題で、通知は重度の労災事故が起きた際、発注元の会社を労働安全衛生法違反で刑事処分すると同時に、請負業者に対して業務停止命令など行政処分をすることも求めている。

(参考・出典:四国新聞 2006・09・04)

実は偽装請負の疑いが指摘された有名メーカーはイメージダウンを嫌ってか、正社員としての雇用を増やすなど改善の方向にあるのかもしれない。行政の動きによりさらにこの流れがすすめばよいのだが。