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退職の時代背景

家族崩壊と格差

今後人口は減少し、経済的に苦しくなるであろう「家族」には3パターンある。と、指摘するのは「パラサイト・シングル」の名付け親である山田昌弘教授だ(週間エコノミスト2006・05・09)。バブル崩壊までの日本は@自営業家族(農家含む)A「サラリーマン+専業主婦」型家族だけを想定して社会制度が組み立てられていて、それが機能していた。しかし近年@自営業の存続Aサラリーマンの安定収入といったものが必ずしも保障されないという状況では、今後10年間に生まれる3つの「家族」形態で大きな問題が生じるだろうと予測される。

まず「高齢者」世帯では自営業の存続が出来ず(従って少ない年金)子どもは都会に出て行くことで扶養も受けられない「高齢者のみの世帯」が増加する。厚生年金の受給資格がない(正社員から非正社員へ移った)高齢夫婦や単身者が増加する。高齢者間の格差拡大が予想される。

次に「子育て世帯」では、低年齢結婚(できちゃった婚)した夫婦は経済的基盤が弱く、今後も不安定なことが予想され、親が援助しようにも親自体にゆとりがない場合が多い。「子育て世帯」の経済格差はそのまま教育投資への格差につあながり、子どもの世代に貧しさが引き継がれてしまうことが予想される。

最後に「パラサイト・シングル」と呼ばれる親と同居の未婚者は、現在のところ親世代の経済的余裕によって(本人の収入が少なくても)ゆとりある生活ができているが、「親が亡くなれば、年金収入もなく、光熱費や固定資産税を払いながら一生独身で生活する必要に迫られる。一定の資産を相続すれば、生活保護が受けられず、徐々に生活水準が低下するケースが今後増える」と予想される。

もしこの3つのパターンのどれかにあてはまりそうな場合は、10年後に苦境に陥ってしまってから慌てるのではなく今から対策を採るべきであろう。