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退職の時代背景

中途採用

「2006年度中の採用予定数は前年度比30.1%増の69万6000人となり新卒求人総数の伸び率(前年度比18.1%)を上回った」ことがリクルートの中途採用調査の調べでわかった。

特に流通業の中途採用が前年度比60.5%と大幅に伸びており、新卒で取り込めなかった人員を中途で採用しようという動きらしい。「流通業は、07年春に入社する新卒者の求人倍率が6.38倍と極端な『売り手市場』」になっているという。全体として中途採用は3割増であり、中でも流通業は6割増となっている……。

この数値を捉えて簡単に転職できると考えてはいけないだろう。もっとも中途採用の伸びが大きい「流通業」というのは給与のピークが早く(店長となった瞬間がピークという話もあり20〜30代)生涯受け取るであろう賃金も他業種と比べ低めである。しかも長時間労働の職場も多い。そういう実情を知った新卒者があえて就職先に選ばないからこそ極端な売り手市場となり、中途採用市場の求人倍率を押し上げている。

中途採用市場の活況はしばらく続くと予想されるが、増えているという業種の条件が必ずしも全ての人にとってよいものとは限らない。それなのに「失業への不安(今後1年間に自分または家族が失業する不安を感じている人の割合)」は65.2%と5年半ぶりの低い水準になっている。新卒・中途の求人件数が多い現状では、失業の恐れをあまり感じないのも当然かもしれない。しかし自分にあった求人案件の状況はどうなのかを確認しておかなければ、本当に安心していられるのかどうかは分からない。

(参考:読売新聞2006・07・31/2006・08・06)