トップページ

退職関連の読書メモ

転職する人、できない人 吉田英明著 新潮社

はっきり言ってこの本のレベルは高いです。「転職」することに対して求められるレベルが高いです。著者はエグゼクティブサーチ専門のヘッドハンターなのですが、本当に「転職」できるのは企業で活躍するトップから「5%のビジネスマン」だけだとしています。現在活況の若年層の転職だけでなくその他95%の転職は「労働市場における需給バランスの調整にすぎない」し、目先の「経営指標の改善に血眼になっている経営者」にいいように使われるだけという認識です。上位「5%人材」に遅くても45歳までになることが「転職」のための必要条件です。

この本は転職論というよりも「仕事論」といったほうがいいと思います。例えば「働く」というのは「傍(はた)を楽にすること」だとか「志」という字は「十人を一人で支える心」だというように。「5%人材」が残り「95%の人材」を支えるという著者のリーダーシップ論が前面に押し出されています。「5%人材」に求められる「覚悟」「胆力」「私心のなさ」は限りなく高く、正直今の日本に著者のいう「5%人材」は1%もいないのでは?と思ってしまいます。

仕事というものを真剣に考えている人、リーダーを目指す人には是非読んでほしいです。う〜ん、でもそれにしてもレベルが高すぎるので、95%の人には「こういう世界もあるんだなぁ」という思いと「自分には無理」という感じになるだけかもしれませんが。いずれにしても安易な転職をしてしまう前に一度を目を通してもらいたいです。